私たちが何かを購入することは、それがいいという意思表示であり、それを提供している事業者を選択したとも言えます。これは自分の意志を表明する“投票”と似ています。投票が集まった商品は、さらに生産されるようになり、次にどのような商品が作られるかに影響を与えます。つまり、私たちの消費行動は、社会を動かす力を持っているのです。「消費者市民社会」とは、そのように消費が社会に与える影響力を自覚し、その力を使って、社会をよりよい方向に変えていこうという考え方です。例えば環境に配慮した商品を選ぶことは地球環境を考える企業を育て、地元で採れた野菜を買うことは、地元の農家を応援することにつながります。発展途上国で作られた作物や製品を適正な価格で購入することは、立場の弱い途上国の生産者や労働者の生活改善につながります。このように、私たちの消費行動によって、社会がよりよい方向に改善されていくのです。そのためには、私たち消費者一人ひとりが、自分の幸福だけでなく、家族や地域、地球全体のことにも意識を向けた消費行動をすることが大切です。